自作PC(自作パソコン)では全てのパーツ(部品)を個別に買って自分で組み立てます。
普通、パソコンは組み立てられた状態で買いますが、スペックの選択肢に幅がありません。
特にケース(筐体)は昔よりはかなり進歩していますが、それでも良いデザインの物はなかなかありません。
大量生産品なので、どうしても選択肢の幅が狭まります。
一方、自作すると自分の好きなケースに入れて思い通りのスペックのパソコンに仕上げられます。
自分で組み立てているので中身がどうなっているのか把握できますので何か問題があった場合に原因が分かります。
目次
思ったより難しくない
「自作」と言っても必要な工具はプラスドライバーで部品をケースに組み付けるだけでよく、実はそう難しいものではありません。
自作PCの組立自体はホームセンターで組立家具を買って帰って組み立てるのと大差なく、必要なものを必要な場所にドライバーでネジ止めして、必要な配線を必要な箇所に差し込むだけです。
電気や数学の知識は全く必要ありませんし、そんなに手先が器用である必要もありません。
ネジ止めの位置、配線のコネクター形状は全て規格化されているので自分で穴を開けたり長さを測ったりという必要もありません。
本当に、必要な位置にはめ込んでネジ止めするだけです。
上級者がマニアックなチューニングを施す場合は話が変わってきますが、少なくとも実用的に動くパソコンを作る上では専門知識は必要ありません。
>>組立工程の写真を見てみる
自作PCは愛車をドレスアップしたり、プラモデルを作って自分好みに塗装するのと似ていると思います。
組み立てる楽しみ、悩む楽しみ、動いたときの喜びが自作PCの醍醐味です。
メリットとデメリット
パソコンを道具として捉えている人には厳しく、機械いじりそのものが好きな人向きの趣味といえます。
メリット
- 自分だけのパソコンを作れる
世界に一台だけの、全て自分の思い通りのスペックでパソコンを作れます。
全部入りゲーム用最高スペックPC、AVラックに収まるハイレゾ音源再生PC、押し入れに置くファイルサーバー
…などなど尖ったスペックや専用用途で面白いものが作れるようになります。 - パソコンの中身が理解できるようになる
パーツを自分で選び、組み込むことでパソコンの仕組みを知ることができるようになります。 - 自分で修理と改造ができるようになる
パソコンの仕組みが分かれば、自分で修理できるようになります。
CPUやメモリーだけスペックアップしたり、ブルーレイドライブを増設する等の改造もできるようになります。
その時の懐具合や相場に応じて最良のパーツを増設してゆけるようになります。 - 最新のパーツが使える
パーツメーカーからCPUやグラフィックカード等の最新鋭スペックのパーツが出ると、真っ先に自作PCショップ(パソコンパーツ店)に並びます。
一方でそれがメーカー製パソコンに採用されるのはずっと時間が経ってからになります。
パーツ同士の相性の検証、品質検査、仕入れ交渉などなどが必要になるからです。
今、旬のパーツを即買って使いたいとなると自作PCを組むのが一番向いています。
デメリット
- 決して安上がりではない
一昔前は安い金額でパソコンを手に入れる最高の方法は自作でした。
(実際、私が初めて自作パソコンを作った20年前、30万円相当の物を10万円程度で作れました)
しかし、今日ではその価格差はほとんど無く、自分が部品の選定や購入に動いてまわる時給を加えると完全に元が取れません。 - パソコン全体の保証がない
お店で組み立て済みパソコンを買えば「パソコン一式」が保証対象なので、どこが何の原因で悪くなろうが、「パソコン一式」をお店に修理依頼を出すのみです。
直るまでやかましく言うだけの話になります。
しかし自作パソコンの場合はパーツ毎の保証のため、何か問題があった場合は自分で原因パーツを特定し、個別に交換・返品保証を求めなければなりません。 - ノートパソコンは作れない
自作PCは基本、デスクトップ型になります。
ノートPCでは完全自作はできず、スペックを細かく指定するにはベアボーンやBTOが選択肢になります。
何が必要なの?
1台のパソコンを組み立てるには8種類のパーツが必須です。
- CPU
- マザーボード
- ディスク(SSD/HDD)
- 光学ドライブ
- メモリー
- ビデオカード(CPUに内蔵されていることもある)
- 電源
- ケース
また、本体とは別に下記のものが必要です。
- ディスプレイ
- キーボード
- マウス
- OS
必須の8パーツについてそれぞれ説明します。
CPU
Central Processing Unit。
人間でいう、脳に当たる部分です。

CPU 表面

CPU裏面
入力装置(キーボード・マウス)や記憶装置(メモリ・ディスク)からデータを読み取り、演算・加工をして出力装置(ディスプレイ)や記憶装置(メモリ・ディスク)に出力します。
つまりパソコンアプリの動きはCPUによって処理されています。
そのためCPUの性能が良いほどデータを速く処理できる=パソコンの動きがスムーズになります。
パソコンの性能はおおむねCPUの性能で決まるので、どの程度の処理能力を必要とするかで使うCPUが決まります。
CPUの裏側は剣山のように沢山の端子(ピン)が出ており、パソコンの基板であるマザーボードの「ソケット」に差し込んで使います。
つまり、マザーボード上のソケットの形=使えるCPUの種類の関係になります。
言い換えると、「使うCPUを決めると、使えるマザーボードも絞られる」ということです。
>>現在主流のCPUソケット
また、CPUには入出力を管理する「チップセット」が必要で、これはマザーボード上に搭載されています。
ここでも、「使うCPUを決めると、使えるマザーボードも絞られる」という関係が成り立ちます。
>>現在主流のチップセット
代表的なメーカーはIntel(インテル)とAMD(エーエムディー)で、現在はIntel製が主流です。
>>CPUの種類
ポイント
- CPUの性能でパソコンの性能は大体決まる
- 何の用途でパソコンを使うかによってCPUを選ぶ
- CPUを選ぶとマザーボードの種類も絞られる
- CPUには大きくIntel製とAMD製がある
マザーボード

FuzzyMannerz / Pixabay
パソコンの基板です。
このパーツの上にCPU・メモリー・SSD・ビデオカード等を差し込みます。
CPUの説明でも書きましたように「CPU」「ソケット」「チップセット」には関係がありますので、CPUに応じて使えるマザーボードが変わります。
CPUを差し込む「ソケット」とパーツをコントロールする「チップセット」はCPUの種類に対応していますので、Intel製CPUを選ぶかAMD製CPUを選ぶかで選ぶべきマザーボードが大きく変わります。
代表的なメーカーはASUS(エイスース)、ASRock(アスロック)、GIGABYTE(ギガバイト)、MSI(エムエスアイ)
ポイント
- マザーボード上にCPU・メモリーなどパーツを差し込む
- どのCPUを選ぶかで買うマザーボードが決まる
>>マザーボードの規格
ストレージ
画像や動画、音楽などのデータを保存します。
大きくSSDとハードディスク(HDD)に種類が分かれます。
SSDの代表メーカー:Intel、サムソン、Crucial
HDDの代表メーカー:Western Digital、HGST、Seagate
メモリー
データを一時的に保存するための場所です。
>>メモリーの規格
代表メーカーは特にこれと言ってありません。
ビデオカード
画像や動画を表示します。
一部のCPUにはこの機能が内蔵されていますのでビデオカードを買う必要はありません。
しかし、ゲーム・動画編集・画像編集などビジュアルに関することを主目的にする場合は別途しっかりとしたものを買うべきパーツです。
ケース
マザーボードやストレージを設置します。
PCの使用用途によってサイズ・デザインを選びます。
>>ケースの規格
電源
最大容量と省エネルギー性能で選びます。
ケースによっては標準装備されていることがあります。
>>電源選びのポイント